チームのタスクをホワイトボードへ貼り出しても、色、カードの大きさ、記号が増えるほど、初めて見る人は「自分が探すカードはどこか」を覚えなければなりません。特に、新しいメンバーや別部署の応援者も見るボードでは、チーム内だけで通じる表現が入口を分かりにくくします。
この記事では、同じ場所で働く少人数の開発・プロジェクトチームへ向けて、列と行を先に決め、実物のカードで必要な板面を確かめる方法を説明します。候補にするのは、板面が幅600×高さ900mmのキャスター付き縦型ホワイトボード
です。
研究が比べたのは「特定のカードを見つける時間」
Karras、Klünder、Schneiderが2017年に発表した研究では、コンピューター科学を学ぶ学部生10人と大学院生20人が、実験用のタスクボードから指定されたカードを探しました。参加者はアジャイル開発の基礎知識を持ち、新しく開発チームへ加わる人を想定した対象です。
実験用ボードには、完了済みのソフトウェア開発プロジェクトをもとにした手書きカード40枚を配置。基本の4列構造と、次の変更を一つずつ比較しています。
- 担当者別の行を加える
- 担当者を独自の色で示す
- カードを小さくする
各比較実験は10人で行われました。担当者別の行を加えた比較では、指定カードを見つける平均時間が基本配置の15.0秒から9.8秒へ短くなりました。一方、独自色を使った比較とカードを小さくした比較では、基本配置より平均時間が長くなっています。
ただし、これは実験環境で一枚のカードを探す速さを測った結果です。参加者は実務中の社員ではなく、各比較は10人に限られます。ボードを置けばチーム全体の仕事が速くなることや、すべての職種で同じ結果になることは示していません。
今回の職場では、位置だけで探せる構造を先に試す
研究結果を今回の職場へ当てはめるなら、色を増やす前に「仕事の段階」と「担当」の位置を決めるところから始めると考えられます。たとえば、横方向を「未着手・作業中・確認中・完了」の列、縦方向を担当者や案件の行にします。
この4列は研究条件を再現するための出発点であり、どのチームにも必要な列数ではありません。確認工程がない仕事なら3列、保留を他の状態と分ける必要があるなら5列など、実際にカードを動かす手順へ合わせます。列名を読まなくてもおおよその場所が分かる状態を目指し、色は位置だけでは区別できない補助情報に絞ります。
担当者別の色を残す場合も、凡例を覚えている人だけが理解できる構造にしません。担当者名の行を付けたうえで色を併用すれば、新メンバーはまず位置から探し、必要なときだけ色を参照できます。
行は、ボードを見る人が最初に探す単位へそろえる
担当者別の行が研究条件で有効だったからといって、すべての職場で人名を行見出しにする必要はありません。「自分の作業はどこか」を探す場面が多いなら担当者別、「この案件は今どこか」を確認する場面が多いなら案件別が候補です。ボードを見る人が最初に投げかける質問に、位置だけで答えられる方を選びます。
担当者と案件を同じ階層で細かく分けると、カードを置ける場所が増える一方、どちらの境界を先に追えばよいか分かりにくくなります。主に探す単位を行へ固定し、もう一方はカード上の短い表記へ回します。応援者が初見で指定した仕事を探す試行を行い、凡例の説明から始めないと見つからないなら、色を足す前に行見出しを見直します。
板面600×900mmを紙で再現する
候補商品の板面は幅600×高さ900mmです。購入前に同じ範囲を模造紙や複数枚の紙で作り、普段使うカードを実際に並べます。横4列なら、罫線や左右の余白を考えない単純計算で一列150mmです。ここから列見出し、罫線、カードをつまむ間隔を引いた幅が、実際に使える一列分になります。
カードの横幅だけで合否を決めず、次の状態を一度に再現します。
- 最もカードが増える列へ、想定枚数を置く
- 担当者または案件ごとの行見出しを付ける
- 一枚を隣の列へ移し、他のカードと重ならないか見る
- 一歩離れ、初めて見る人が指定カードを位置から探す
カードを小さくすれば枚数は増やせますが、研究では小さいカードが探索時間を短くしたわけではありません。必要枚数が収まらない場合は、文字まで縮める前に、完了カードを別に保管する、対象期間を一週間に絞る、ボードを二台に分ける方法を比べます。
候補商品は一枚の縦型ボードとして使う
スタッキングホワイトボード SWB-W60H90
は、片面の縦型ホワイトボードです。商品ページで確認できる主な仕様は次のとおりです。
- 板面: 幅600×高さ900mm、マグネット対応
- 外寸: 幅610×奥行550×高さ1625mm
- 重量: 7.6kg
- 材質: 本体と脚は粉体塗装スチール、キャスターはポリプロピレン
- 移動: ストッパー付きキャスター4個
- 付属部分: マグネットトレー
- 保管: 同型をスタッキング可能
- 組み立て: 購入者による組み立て。付属スパナのほか、プラスドライバーが必要
商品ページは、板面にフレームがなく、同型を横へ並べられると案内しています。一台で必要な列幅を確保できない場合、カードを縮小するだけでなく、二台を並べる案も紙上で比較できます。ただし、二台を導入するなら板面幅だけを合算せず、それぞれの脚が占める床面と保管時の寸法を実機で確認します。
マグネット対応は、カードを磁石で留めて列間を動かす用途に使えます。粘着式の付箋を使う場合は、板面との相性や貼り直し後の保持を別途試してください。マーカーとイレーサーは別途用意する必要があります。
片面ボードに残す情報を、更新対象だけへ絞る
候補商品は片面式なので、裏面へ完了分や補足情報を逃がす運用はできません。現在の作業と、長期間残したい記録を同じ板面へ載せると、完了列が増えて進行中のカードを探しにくくなります。完了した仕事を振り返りに使うなら、振り返り後に別の記録へ移すタイミングを決め、日々の板面には次に動かす対象を残します。
保留理由や細かな作業メモまでカードへ詰め込む必要もありません。ボード上では状態と担当を位置で確認できるようにし、経緯を残す既存の管理先があるならカードから参照できる名称だけをそろえます。物理ボードをすべての記録の正本にするのか、チームが状況を見渡す入口にするのかを先に決めると、消したくない情報で板面が埋まるのを避けられます。
ボードの置き場所は閲覧位置と更新動作から決める
本体の床面は幅610×奥行550mmです。この範囲を床へ示し、チームの席から列見出しを読める位置と、カードを更新する人が正面へ立てる位置を探します。通路の途中へ置いて目立たせるのではなく、普段の移動を妨げず、短い打ち合わせで全員が同じ面を見られる場所を選びます。
移動後はキャスター4個のストッパーを掛けてから書き込みます。ボードを別室へ運ぶなら、本体幅だけでなく奥行550mmと高さ1625mmが、扉、曲がり角、机間を通るかを確かめます。複数台を重ねるときの総奥行や上限台数は商品ページに記載がないため、導入台数で実測するか販売元へ確認します。
更新のきっかけと担当を、カードの移動単位で決める
列と行が分かりやすくても、実際の状態とカードがずれれば判断には使えません。作業へ着手した人が自分でカードを動かすのか、短い定例で進行役がまとめて動かすのかを統一します。更新できなかったときの戻し先も決め、判断待ちのカードを作業中の列へ放置しない運用にします。
試用期間中は、カードが増えたことより、同じ列で止まり続けたカードや置き場所に迷ったカードを記録します。それらは色不足ではなく、列の境界や更新ルールが曖昧な兆候です。購入前の紙上テストでも実際の仕事を一定期間動かし、カードを作る、列間を移す、完了分を外すところまで再現すれば、板面の適合と運用の適合を分けて判断できます。
最終判断は、実物カードと更新場所の二条件で分ける
この商品を候補にできるのは、幅600×高さ900mmの紙上で必要な列・行とカード枚数を再現でき、外寸分の床面をチームが閲覧・更新できる場所へ確保できる場合です。
どちらかが成立しないなら、独自色や小さなカードで詰め込む前に、列数、表示期間、ボード台数を見直します。位置からカードを探せる単純な構造が決まったら、SWB-W60H90の商品詳細を確認する
と、板面と設置場所の照合を具体化できます。
参考資料
- Oliver Karras, Jil Klünder, Kurt Schneider, Is Task Board Customization Beneficial? - An Eye Tracking Study, 18th International Conference on Product-Focused Software Process Improvement (PROFES 2017), 2017, arXiv:1708.00275
- オフィスコム, スタッキングホワイトボード SWB-W60H90 商品ページ
