契約書、仕様書、縦に続くWebページを見るたびにスクロールが増えると、モニターを縦向きにしたくなることがあります。ただし、画面を90度回せても、文書の表示範囲が実作業に合うとは限りません。横幅が狭くなって表やメニューが折り返されたり、画面上端が高くなったりするためです。
この記事では、縦向き表示をソフトウェア上で先に試し、モニターの外形を回転させる空間を測る順序を説明します。候補にするのは360度回転に対応する1画面用モニターアームです。商品を取り付ければ文書が必ず読みやすくなる、という意味ではありません。
先に文書を縦長の表示領域で試す
モニターを購入したりスタンドを外したりする前に、普段使う文書を縦長のウィンドウで表示します。契約書のPDF、社内仕様書、ブラウザーの管理画面など、見る頻度が高い資料を一つずつ開いてください。
確認するのは、縦方向に何行増えたかだけではありません。次の操作を、現在と同じ表示倍率で比べます。
- 本文を読むとき、横スクロールや不自然な折り返しが増えないか
- PDFを1ページ全体、ページ幅、100%のどれで見るか
- 表計算の列や業務システムの左右メニューが隠れないか
- Web会議や動画など、横長の内容へ切り替える頻度が高くないか
縦長のウィンドウで普段の作業を15分ほど行い、スクロール回数と表示倍率を記録します。縦方向の表示が増えても、文字を小さくしないと横幅へ収まらないなら、その設定は採用しません。文書用と横長コンテンツ用で画面方向を頻繁に変える必要がある場合は、毎回の回転とOS設定の切り替えも作業に含めて判断します。
縦向きを主画面にするか補助画面にするかを決める
長い文書を読むことと、その文書を編集することでは必要な横幅が異なります。本文だけを追う閲覧では縦向きが合っても、変更履歴、コメント欄、ページ一覧を同時に表示する編集では本文領域が狭くなる場合があります。閲覧時だけでなく、普段表示するサイドパネルを開いた状態でも試してください。
文書を見ながら別画面へ入力する仕事なら、縦向き画面を資料専用の補助画面にすると、入力画面の配置を変えずに済みます。一方、一画面で文書、表計算、Web会議を切り替える席では、横長の内容へ戻るたびに物理的な回転とOS設定の変更が発生します。この切り替えが作業を止めるなら、横向きのままウィンドウ配置を調整する方式も残します。
共有席では、前の利用者が残した画面方向や表示倍率も確認対象です。ログイン直後に正しい向きへ戻せない、モニターを回す方向が利用者ごとに異なって配線を引くという運用なら、可動範囲が足りていても常用には向きません。縦向きが役立つ文書と、横向きへ戻す条件を席の使い方として決めてからアームを選びます。
縦向きでは画面上端の高さも変わる
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は、ディスプレイの上端を眼の高さとほぼ同じかやや下にし、おおむね40cm以上の視距離を確保することが望ましいとしています。位置、角度、明るさは作業者に合わせて調整することも前提です。
この資料は縦向きモニターや特定のアームを推奨するものではありません。横長画面を回したとき、上端を見上げる位置にならないかを確かめる基準として使います。
画面の外形幅をW、外形高さをHとすると、中心位置を変えずに90度回した場合、上端はおおむね(W−H)÷2だけ高くなります。ベゼルを含む実寸で計算してください。VESA穴の中心が画面中央からずれている機種では、この計算だけで最終位置を決められません。
計算後は、横向き画面と同じ大きさの段ボールや厚紙を作り、中心位置を支えながら縦向きへ回して上端を確認します。眼の高さより上まで文書を表示する配置になるなら、アームで画面全体を下げられるかを先に照合します。下げると机へ当たる場合は、縦向きにすること自体を見直します。
回転する長方形を机上で再現する
縦向きで収まることと、横向きから安全に回せることは別です。画面外形と同じ厚紙へ、VESA穴の中心位置を印します。その点を固定したまま横向きから縦向きへ回し、四隅の通り道を見てください。
確認する相手は、机上面、壁、デスクトップパネル、棚、隣のモニター、Webカメラです。回転の途中だけ角が当たることもあります。画面を手前へ引けば回せる場合は、引き出した位置でも眼から画面までの距離を保てるかを測ります。
「回転360度」は取付部の可動仕様であり、周囲の家具を避けて画面を一周できる保証ではありません。縦向きの完成位置だけでなく、そこへ移る途中の範囲まで厚紙で再現します。
MXVで照合する仕様は一度にまとめる
画面を縦向きへ回し、上下と前後の位置も調整したい場合の候補としてMXVがあります。Ergotron MXV デスクモニターアームの商品詳細を確認する
。オフィスコムの商品ページとメーカー資料で確認できる主な仕様は次のとおりです。
- 対応モニターサイズ: 34インチまで
- 荷重範囲: 3.2〜9.1kg
- VESA: FDMI MIS-D、75×75mm、100×100mm
- 画面回転: 360度
- 昇降範囲: 330mm
- 最大伸長: ベース背面からVESA取付部まで560mm
- クランプ固定の対応天板厚: 12〜32mm
- 本体重量: 2.9kg
- 付属固定具: 2ピースデスククランプ
34インチという対角寸法だけで選ばず、付属スタンドを外したモニター本体が荷重範囲に入るかを確認します。VESA穴が75×75mmまたは100×100mmでも、背面のくぼみ、端子、通気口、ねじ深さが取付金具と干渉しないかをモニター側の説明書で確かめてください。
メーカー資料では、アルミ色、ホワイト、マットブラックの品番が分かれています。色だけで同じ品番だと思わず、注文画面で選択した仕様と同梱品を確認します。
560mmは視距離と回転位置の両方に使う
最大伸長560mmは、画面を利用者へ近づけられる量だけを表す数値ではありません。壁やパネルを避けて回転させるため、一時的に手前へ引く使い方にも関係します。
天板後端の取付候補から、普段見る位置と回転させる位置の二つを厚紙で示します。どちらでも椅子とキーボードの正面を崩さず、眼から画面までおおむね40cm以上を保てるか測ります。560mmいっぱいまで伸ばす前提でしか回転できず、画面が近づきすぎる場合は、その取付位置に合いません。
アームを壁側へ折りたたむ空間も必要です。ベース部の回転ストッパーを解除すると回転範囲を広げられますが、背面の壁や隣席へ張り出してよいという意味ではありません。対面席や隣席がある場合は、管理範囲から画面とアームが出ない位置を決めます。
天板の厚さより固定面を先に見る
クランプ固定では、天板厚が12〜32mmに収まるだけでは不十分です。取付位置の下面に補強フレーム、幕板、引き出し、配線トレーがなく、上下から平らに挟めることを確認します。
中空天板、ガラス天板、傾斜した縁などは、厚さだけで取付可とは判断できません。机の説明書にモニターアームの使用可否がない場合は、机の型番、取付位置の表裏写真、モニター重量を机メーカーと販売元へ伝えて確認します。
オフィスコムの商品ページでは、グロメットマウントキットは付属しないと案内されています。既存の配線穴を使う予定でも、別売部品の適合、穴寸法、天板構造を確認せずに固定方式を変更しないでください。
縦向きにしてから表示と配線を確定する
取付後は、最初にOSの画面方向を縦へ変更し、次にモニター本体を回します。操作順はOSとモニターの説明書に従い、画面を支えながら無理な力を加えません。回転方向によって映像端子や電源端子が上側へ来る場合があるため、ケーブルが端子を引っ張らない向きを選びます。
画面を横向き、回転途中、縦向き、最も手前の位置へ順に動かし、ケーブルが関節へ挟まらず、机上へ垂れない長さを残します。余長をアームへ固く巻き付けず、メーカーが示す配線経路へ収めます。
最後に、事前に試した文書を同じ表示倍率で開きます。縦方向の表示範囲、横方向の折り返し、画面上端を見る姿勢、視距離を一作業で確認してください。実機で表示が合わなければ、アームが回転できても縦向きを常用する理由にはなりません。
文書表示と回転空間が両方合えば候補になる
縦長のウィンドウで普段の文書を試し、文字を小さくせず作業できることが第一の条件です。もう一つは、画面上端を見上げず、厚紙を90度回せる周囲の空間とクランプ固定面を確保できることです。
この二条件がそろった場合に、360度回転対応のMXVを、縦向きと横向きの位置を調整する候補にできます。