オフィスの小型耐火金庫に何を入れる?一般紙用0.5時間と内寸を確かめる

オフィスの小型耐火金庫へ何を入れるか迷う担当者へ。一般紙用0.5時間耐火の対象、データ媒体を分ける理由、内寸354×300×102mmと28kgの設置条件を解説します。

オフィスの小型耐火金庫に何を入れる?一般紙用0.5時間と内寸を確かめる

契約書、通帳、事業を再開するときの連絡先など、火災後にも必要な紙を鍵付き書庫へ置いたままにしていないでしょうか。少量ならオフィス用の小型耐火金庫が候補になりますが、鍵が掛かること、燃えにくいこと、データを守れることはそれぞれ別の性能です。

この記事では、一般紙用0.5時間耐火の金庫を例に、保管する紙の選び方、データ媒体を分ける理由、角2封筒と内寸の照合方法を説明します。

火災後に最初の業務を再開するための紙を選ぶ

最初に、重要そうな書類をすべて集めるのではなく、事業を止める出来事が起きた後に、誰が、どの業務で使うかを一枚ずつ確認します。契約書の原本、通帳、保険関係書類、緊急連絡先、自社の事業継続計画などを候補にし、法令や社内規程で定めた保存方法がある文書はその規程を優先してください。

中小企業庁のBCP資料は、重要書類の例として各種契約書や自社のBCPを挙げ、事業所内では耐火性の金庫などへ保管する方法を示しています。さらに、中核事業に必要な紙・電子データは複製を作り、同じ災害で被災しない場所へ保存することが重要だとしています。

つまり、耐火金庫は一か所へ全部集めるための箱ではありません。原本を金庫へ入れる場合も、業務再開に使う複製や電子データを同じ建物だけへ残さない計画と組み合わせます。

一般紙用にはUSBメモリを一緒に入れない

候補にする日本アイ・エス・ケイ LP-10K の性能表示は「一般紙用0.5時間耐火」です。この表示は、紙とデータ媒体を同じ条件で保護するという意味ではありません。

日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会の資料では、一般紙用を示す記号はP、フレキシブルコンピュータディスク用はFと分けられています。同連合会が示す耐火設備の合格基準でも、書庫室設備は庫内最高温度177℃以下、データ保管室設備は52℃以下かつ相対湿度80%以下と、対象により条件が異なります。

LP-10Kの一般紙用という表示だけを根拠に、USBメモリ、外付けSSD、光ディスク、写真フィルムなどを保管対象にしないでください。電子データは、対応する保管設備を情報システム担当者と確認するか、暗号化やアクセス管理を施したうえで別の場所にもバックアップを持つ方法を検討します。

「紙に見える物」も一般紙とは限らない

保管候補を紙とデータ媒体の二択だけで分けると、感熱紙、写真、フィルム、樹脂製カード、磁気を使う物などを一般的なコピー用紙と同じ扱いにしてしまいます。この記事で確認できる商品性能は一般紙用であり、見た目が薄い、封筒へ入るという理由だけでは保護対象と判断できません。

原本の材質が分からない場合は、発行元に再発行の可否と代替となる記録を確認します。そのうえで、耐火金庫へ入れる必要があるなら、保管物の名称と材質をメーカーへ伝え、一般紙用の性能区分で扱えるかを確認してください。確認できない物は「念のため一緒に入れる」のではなく、対応する保管設備か、別拠点の複製で備えます。

押印済み書類も、印章や証書類を同じ箱へまとめればよいとは限りません。火災後に必要な順序と、平常時に誰がアクセスできるべきかを分け、耐火性能とアクセス権限の両方を満たす保管先を選びます。

0.5時間を「火災後も必ず読める保証」と考えない

0.5時間耐火は、定められた試験に合格した性能区分です。実際の火災の継続時間、建物の状況、消火水、落下や破壊、保管物の材質まで一律に保証する表示ではありません。

日セフ連の認定品一覧では、LP-10Kは一般紙用の0.5時間標準加熱試験に対応する型式として掲載されています。一方、商品ページには防盗性能、耐水性能、急加熱・衝撃落下性能の記載がありません。耐火という言葉から、それらの性能まで備わると推測せず、必要なリスクごとに表示を確認してください。

現金や有価証券を盗難から守ることが主目的なら、防盗性能を示す金庫を別に比較します。浸水が想定される場所では、耐水性能の有無だけでなく、設置階や移設先を施設・防災担当者と検討します。

内寸354×300×102mmを紙箱で再現する

LP-10Kの商品ページで確認できる主な仕様は次のとおりです。

  • 外寸: 幅434×奥行435×高さ202mm
  • 内寸: 幅354×奥行300×高さ102mm
  • 内容積: 10.8L
  • 重量: 28kg
  • 性能: 一般紙用0.5時間耐火
  • 施錠方式: リバーシブル錠
  • 付属品: トレー2枚、鍵3本、エンディングノート
  • 対応: 角2封筒
  • 組み立て: 完成品

保管量は10.8Lという数値だけで決めません。段ボールで内寸と同じ幅354×奥行300×高さ102mmの箱を作り、普段の状態の書類を入れます。角2封筒は、封筒だけでなく中の紙、留め具、ラベルを含めた厚さで試してください。

付属トレーを使う場合は、トレーを入れた状態の有効寸法を商品ページだけでは断定できません。トレーごとの内寸と配置は販売元へ確認し、よく取り出す連絡先と、普段は動かさない原本を分けられるかを実物で確かめます。

原本を詰め込まず、正本と複製の所在を記録する

同じ契約の原本と複製、期限切れの保険書類、更新前の連絡網を重ねると、容量を使うだけでなく、緊急時に有効な版を選べません。文書名、版または締結日、原本・複製の別、保存期限、金庫内の位置を一覧にします。

一覧へ機密情報を詳しく書きすぎると、一覧自体が新たな管理対象になります。金庫の外から分かるのは文書区分と確認日までにし、契約相手や口座番号などの詳細は社内規程に沿って管理してください。

書類を追加するときは、期限切れの版を取り除くか、保存義務があるなら別の保管区分へ移します。容量の上限まで押し込まず、必要な封筒を扉やトレーへ引っ掛けずに取り出せる余裕を残します。

28kgを置ける面と扉前を測る

本体は幅434×奥行435mm、重量28kgです。棚板へ置く場合は、本体と保管物の合計を支えられるかを家具の仕様と施設担当者へ確認します。棚の耐荷重が不明なまま、見た目だけで置けるとは判断しません。

床や台へ幅434×奥行435mmの輪郭を作り、正面で鍵を操作して扉を開き、角2封筒を水平に出し入れする動作を試します。扉の開放時寸法は商品ページに記載が見当たらないため、販売元へ確認してください。通路、避難口、ほかの収納扉と開閉範囲を重ねないことも必要です。

28kgの本体を日常的に棚から下ろす運用にはせず、設置後に無理なく使える位置を決めます。固定方法や床・台への載せ方は、取扱説明書、建物の条件、メーカーまたは施工担当者の案内に従います。

3本の鍵を同じ金庫の近くへ置かない

鍵が3本付属していても、3人へ無条件に配るのではなく、通常使用者、予備鍵管理者、緊急時の引き継ぎ先を決めます。鍵へ「耐火金庫」や部屋名をそのまま書くと、紛失時に対象を特定されやすくなります。社内の鍵番号で識別し、対応表は権限を持つ担当者が管理します。

予備鍵を同じ部屋の引き出しや金庫の横へ置くと、その場所へ入れない災害や盗難時に一緒に使えなくなります。別の管理区域へ分け、誰が取り出せるか、担当者の不在時にどう承認するかを決めてください。

付属のエンディングノートを家族経営の法人で使う場合も、個人の相続情報と会社の業務情報を一冊へ無制限に混ぜません。会社として引き継ぐ連絡先、契約、口座、権限を社内規程に沿って選び、個人情報を閲覧できる人を限定します。

年に一度、一覧だけでなく取り出しまで試す

点検では鍵の本数と書類一覧を照合し、有効期限、版、保管場所を更新します。さらに、管理者以外の承認された担当者が、一覧を見て指定の封筒を取り出し、元の位置へ戻せるかを試してください。

中小企業庁のBCP資料は、バックアップ場所から電子データや書類を取り出す訓練を行うことが望ましいとしています。金庫の鍵があっても、責任者へ連絡できない、必要書類を選べない、複製の保存先へたどり着けないなら、業務再開には使えません。

試験後は、鍵の担当変更、連絡先の更新、書類の増減を反映します。災害時だけでなく、代表者の不在や担当交代でも引き継げる状態になっているかを確認します。

日常的に開ける書類は入れすぎない

毎日使う伝票や印章まで同じ金庫へ入れると、開閉する人と回数が増え、緊急時用の書類も日常の物に埋もれます。平常業務で頻繁に使う物は、必要な防犯性と権限管理を備えた別の収納を検討し、この金庫には火災後の復旧で優先して取り出す一般紙を中心に残します。

保管対象を変更するときは、単に空きへ追加せず、責任者が用途と材質を確認します。耐火試験の対象外となる物や、社内規程上さらに厳しい保管が必要な物を混在させないことが、限られた庫内を有効に使う条件です。

紙の保管対象と別拠点の複製を決められるなら候補になる

LP-10Kを候補にできるのは、火災後の業務再開に必要な一般紙を選び、内寸354×300×102mmへ取り出せる状態で収められる場合です。さらに、データ媒体を一般紙用の性能だけで保護できると考えず、紙と電子データの複製を同じ災害で失わない場所へ分ける必要があります。

この条件を満たせるなら、LP-10Kの商品画像と現在の仕様を確認する と、保管物と設置場所を具体的に照合できます。

参考資料