フリーアドレスの椅子は自動ロッキングだけで調整が済む?

フリーアドレス席で体格の違う人が同じ椅子を使う職場へ。オートバランスロッキングで省ける調整と、座面高・奥行・腰当てに残る個別調整を、試座と運用から判断します。

フリーアドレスの椅子は自動ロッキングだけで調整が済む?

フリーアドレス席では、前の人が強く締めたロッキングを次の人がそのまま使い、背もたれへ体を預けられないことがあります。反対に、軽く設定された椅子へ勢いよく座り、予想より大きく倒れるのも避けたいところです。

体重に合わせて反力を変えるオートバランスロッキングなら、手動の強弱調整を一つ減らせます。ただし、椅子の調整がすべて不要になるわけではありません。この記事では、フリーアドレス用の共用椅子として試す順序と、購入を分ける判断材料を説明します。

自動になるのは背を預けたときの反力

候補のオフィスチェア OCV23HCF は、座る人の体重に合わせてロッキングの強さを自動調整する仕様です。一般的な手動式のように、利用者が反力調整ノブを何回転させるか覚える必要はありません。

ここで自動になるのは、背もたれへ寄りかかったときのロッキング反力です。商品ページで確認できる座面の昇降、前後スライド、ランバーサポートの高さは、利用者が自分で合わせる機能として分けます。

また、反力の自動調整と、背もたれを止める段階ロックは別の機能です。「寄りかかる重さを手動で調整しなくてよい」ことと、「好みの角度で背もたれを止められる」ことを混同しないようにします。背を起こした作業姿勢を固定したい人には、自動反力だけでなくロック操作の分かりやすさも試す必要があります。

厚生労働省の情報機器作業ガイドラインも、複数の作業者が同じ椅子を交替で使う場合は、高さを容易に調整できるものがよいとしています。また、椅子の座面高だけでなく、机、キーボード、マウス、ディスプレイの位置を総合して調整するよう示しています。

これはOCV23HCFの効果を評価した資料ではありません。自動ロッキングを採用しても、利用者ごとの基本調整を省かない根拠として使います。

座面高と奥行を合わせてから背を預ける

試座では、ロッキングの動きから確かめず、次の順に一人ずつ設定します。

  1. 普段履く靴で深く腰掛け、座面高を調整する
  2. 足裏全体を床へ置き、机上のキーボードへ肩を上げずに手を置けるか確認する
  3. 座面を前後へ動かし、座面前端と膝裏の間に手指が入る程度の隙間を作る
  4. 高さを30mm調整できるランバーサポートを、背中を押し上げたり腰から外れたりしない位置へ合わせる
  5. 最後に背もたれへゆっくり体を預け、ロッキング反力を確かめる

商品ページの座面高は430~500mmです。この値は無荷重時の商品寸法なので、数値だけで足が床へ届くとは決められません。最低位置でも足裏が浮く人には、十分な広さがあり滑りにくい足台を用意するか、より低い椅子を比較します。

体格の異なる三人で同じ動作を比べる

一人だけの試座では、体重に応じた変化が共用席で役立つか判断できません。体格の異なる三人程度に協力してもらい、同じ机と同じパソコンで次の動作を行います。

  • 背を起こして文字を入力する
  • 画面を見たまま背もたれへゆっくり寄りかかる
  • マウス操作へ戻り、上体を起こす
  • 椅子を机から引き、立ち上がる

比較するのは「座りやすい」という感想だけではありません。寄りかかり始めに強く踏ん張る必要がないか、意図せず急に倒れないか、起き上がるとき背もたれに押し出されないかを記録します。

三人のうち一人でも動きを予測しにくい場合は、オートバランスという名称だけで全席へ導入しません。体重差だけでなく、背を預ける速さや好みでも評価は変わるためです。少数の席で試し、手動調整式を残す必要があるか確かめます。

合わない原因を反力だけに決めつけない

試座で「寄りかかりにくい」と感じたとき、すぐにオートバランスの不適合とは判定できません。ロックがかかっている、座面が前に出すぎて深く座れない、ランバーサポートが背に当たりすぎるといった別の要因を先に切り分けます。

逆に、ロックを解除し、座面と腰当てを合わせても、ゆっくり背を預けるたびに踏ん張る必要があるなら、その人には合っていないと判断できます。全員が同じ感想になることを目標にせず、操作を整えた後も一連の動作を無理なく繰り返せるかで選びます。

動きに不安が残る人の席を「慣れれば使える」と扱うと、結局は背もたれを使わない運用になります。試用中は不満の有無だけでなく、どの調整をした後にどの動作で困ったかを残すと、椅子の特性と調整手順のどちらが原因かを判断できます。

毎回動かす三つの場所を椅子に表示する

反力調整ノブがなくても、共用席では座面高、座面奥行、ランバーサポートの三か所を利用者が見つけられなければ調整されません。操作レバーの場所と動かし方を説明書で確認し、椅子の近くへ短い案内を置きます。

案内は「自分に合わせてください」ではなく、操作と判断を対応させます。

  • 足裏が床へ着かない、または机に対して肩が上がる: 座面高を変更する
  • 膝裏が座面前端へ当たる: 座面を後ろへ動かす
  • 腰当てが背中の高すぎる位置や低すぎる位置にある: ランバーサポートを上下させる

退席時に全員が同じ高さへ戻す運用は、次の人が結局もう一度動かすことになります。原点復帰よりも、着席直後に三か所を確認する順序を共有したほうが、体格差へ対応しやすくなります。

案内は常設するだけでなく、初めて利用する人が説明を読まずに操作部を見つけられるかも確かめます。案内の文言と実際のレバーの名称がずれていると、機能があっても共用席では使われません。組み立て後の初期点検では、各操作部が説明どおり動くことと、座ったまま無理に手を伸ばさず操作できることを確認します。

幅675×奥行680mmは動作範囲で確かめる

商品ページで確認できる主な仕様は次のとおりです。

  • 本体外寸: 幅675×奥行680×高さ970~1040mm
  • 座面高: 430~500mm
  • 重量: 13.5kg
  • 肘掛け: なし
  • キャスター: 直径60mmのナイロン双輪
  • ロッキング: 体重に応じて反力を自動調整
  • 座面: 前後スライド機能付き
  • ランバーサポート: 高さ30mm調整

床へ幅675×奥行680mmの長方形を示すだけでは、使用中の範囲は足りません。背を倒す、机から椅子を引く、立ち上がって後ろを通る動きを再現し、隣席の脚、デスクワゴン、配線へ当たらない位置を決めます。

ナイロンキャスターの転がり方は床材でも変わります。展示場所と導入場所の床が違う場合は、実際のフリーアドレス席で寄りかかりから立ち上がりまで試してください。意図せず椅子全体が後退するなら、ロッキング反力だけを評価しても導入判断になりません。

反力調整を減らし、個別調整を続けられる席にする

OCV23HCFを候補にできるのは、体格の異なる利用者がロッキングの動きを予測でき、着席時に座面とランバーサポートを自分で調整できる場合です。反力を自動化することと、椅子を調整不要にすることを分けて判断します。

この二点を少数席で再現できたら、OCV23HCFの商品画像と現行仕様を確認 してください。

参考資料