車いすで研修テーブルを使える?天板下とアームレストを測る

車いす利用者が社内研修で使うテーブルを選ぶ担当者向けに、天板下の高さ、脚間幅、奥行を測り、アームレストや膝との干渉を実物で確かめる手順を解説します。

車いすで研修テーブルを使える?天板下とアームレストを測る

車いす利用者が社内研修へ参加するとき、テーブルの「高さ720mm」だけを見ても、席へ近づけるかは分かりません。天板下のフレームへ膝が当たる、アームレストが天板の下へ入らない、脚の間を前輪が通れない、といった干渉が残るためです。

この記事では、研修を準備する総務・施設担当者へ、幕板と棚板のない研修テーブルを候補にする測り方を説明します。公的資料の寸法は候補を絞る目安にとどめ、最後は参加者が使う車いすと実物で確かめます。

「天板の高さ」と「天板下の空き」を分ける

最初に測るのは、床から天板上面までではなく、床から天板下で最も低い部材までの高さです。天板の裏にフレームや折りたたみ機構があれば、その下端が実際の制限になります。

候補にする幕板・棚板なしの研修テーブル は、高さ720mm、天板厚さ20mmです。単純に引くと720-20=700mmですが、これは天板直下だけの計算です。商品ページにはフレームを含む最低有効高さが記載されていないため、700mmをそのまま足元の空きとは扱えません。

販売元へ「床から天板下で最も低い固定部材まで」を問い合わせるか、組み立てた実物で測ります。中央だけでなく、着席位置の左右と手前側も測り、数値が最も小さい場所を記録してください。

公的資料の寸法は候補抽出の目安にする

国土交通省の「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(令和7年度改正版)」は、店舗のテーブル・カウンターについて、下端高さ65〜70cm程度、上端高さ70〜75cm程度を示しています。下部の奥行きは45cm以上、脚間の内法は70cm以上または中央柱脚、席を利用するための奥行きは120cm以上という目安もあります。

この資料が扱うのは建築物内の店舗であり、社内研修用家具の認証基準でも、今回の商品を推奨する資料でもありません。ただし、高さだけでなく、下部の奥行き、脚間幅、席の前後空間を確認する必要があると分かります。研修室では、この四項目を測定票へ移して候補を比較します。

車いす側はアームレスト・膝・フットサポートを測る

参加者の了承を得て、当日使う車いすを平らな床へ止めます。クッション、座面角度、フットサポートなども普段の使用状態にしてください。

測る箇所は次のとおりです。

  • 床から左右のアームレスト上端までの高さ
  • 床から膝の最も高い位置までの高さ
  • 左右の前輪または最も外へ張り出す部位の幅
  • テーブル端から膝が入る位置までに必要な奥行き
  • テーブルへ正対した状態で、車いす後端までを含む席の奥行き

高さの合否は「天板下の最低有効高さ-車いす側の最高部」で求めます。たとえば車いす側の最高部が680mmなら、最低有効高さが同じ680mmでは接触するため採用できません。必要な差は利用者の姿勢や衣服でも変わるので、担当者だけで一律の余白を決めず、本人が前へ寄る動作まで試します。

外寸600mmを下部奥行450mmと読み替えない

候補商品の外寸は幅1800×奥行600mmです。しかし、奥行600mmは天板全体の前後寸法であり、片側から車いすの膝が入る下部空間ではありません。中央の機構や脚の横材まで何mm入れるかを別に測ります。

同様に、幅1800mmから一席分を600mmと割り当てても、脚間内法が600mmになるとは限りません。車いすを置く席を先に決め、その位置で左右の脚や補強材の間を測ってください。公的資料の70cmという目安に届くかを見ると同時に、実車の最大幅が接触せず通るかを試します。

机上には研修で使うノートパソコンとA4資料も置きます。奥へ入れないため画面や資料が遠くなるなら、足元に接触がないだけでは使用できる席とはいえません。

1200mmの席奥行は通路と分けて確保する

床へテープを貼り、テーブル端から車いす後端までを含む1200mmの範囲を一度再現します。これは公的資料が店舗の席利用について示す目安を研修室で試すものであり、すべての車いすに足りると断定する値ではありません。

着席した状態で、後ろを別の参加者が通る必要があるなら、1200mmの中へ通路を重ねないでください。席の利用範囲と通路を別々に示し、入室、正対、退出までを行います。キャスター付きテーブルを後ろへ押して、その都度場所を作る運用にもせず、使用位置でストッパーとアジャスターを固定して試します。

本人と同席して短い模擬研修を行う

寸法が候補範囲に入ったら、参加者本人と相談し、当日と同じ教材を使って短い模擬研修を行います。担当者が車いすを押して収めるのではなく、本人が普段の方法で近づき、離れられるかを確認してください。

試す動作は、正面へ寄る、パソコンを操作する、資料へ書く、姿勢を変える、席から離れる、の一連です。膝やアームレストの接触だけでなく、フットサポートが脚部へ当たる、天板へ腕を置くと車いすが後退する、隣席の椅子を動かさないと退出できない、といった出来事も記録します。

本人が別の席や配置を希望する場合は、数値上の候補へ合わせることを優先しません。必要なら参加者本人、社内の施設担当者、販売元で確認し、テーブル一台を試してから台数を決めます。

研修当日に席を作り替える運用にしない

実車で使えることを確認しても、当日に空いている場所へテーブルを置くだけでは再現できません。確認済みの向きと位置を会場図へ残し、設営担当者へ「車いす席」とだけ伝えるのではなく、どの側から進入し、どの備品を周囲へ置かないかまで共有します。非常口への経路やほかの参加者の動線を塞がないことは、通常の会場設営と一緒に施設担当者が確認してください。

また、平行スタッキングできることと、必要なときだけ簡単に利用可能な席を作れることは別です。保管場所から出した後に毎回配置が変わると、模擬研修で確認した条件が失われます。研修前の設営完了時点で本人に席を選び直させるのではなく、参加方法や希望を事前に確認し、利用できる状態で会場を用意する運用が必要です。

紹介商品で接触を解消できない場合は、アームレストを外す、車いすから別の椅子へ移るといった対応を担当者側で前提にしません。昇降できるテーブルや脚部構造の異なるテーブルを検討し、本人が普段の車いすのまま参加できる候補へ切り替えます。つまり、幕板・棚板なしは調査を始める条件であって、採用を決める条件ではありません。

候補商品の仕様は試用計画に使う

商品ページで確認できる主な仕様は次のとおりです。

  • 外寸: 幅1800×奥行600×高さ720mm
  • 天板厚さ: 20mm
  • 重量: 26.5kg
  • 構成: 幕板なし、棚板なし、平行スタッキング
  • キャスター: 直径57mmのウレタン双輪、ストッパー2個付き
  • アジャスター: 10mmの高さ調整
  • 組み立て: 購入者による組み立て

10mmのアジャスター調整は、床のがたつき調整に関する仕様です。天板下の空間を利用者に合わせて広く変えられる昇降機能とは扱いません。また、幕板と棚板がないことは中央の障害物を減らす候補条件ですが、フレームや脚との接触がないことまでは保証しません。

三方向の有効寸法と実車が合えば候補になる

このテーブルを候補にできるのは、天板下の最低高さ、脚間の内法、膝が入る奥行きを実測し、当日使う車いすで接近から退出まで行えた場合です。

三方向の寸法を販売元または実物で確認でき、本人との模擬研修でも接触がなければ、幕板・棚板なしの幅1800mm研修テーブルの商品ページ で色と最新仕様を確認できます。

参考資料