会社の書庫やキャビネットの上段へ手が届かないと、近くの椅子を踏み台代わりにしたくなることがあります。しかし、キャスター付きの椅子は人が乗るための踏み台ではありません。
この記事では、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」の事例をもとに、先に低い棚へ移す物を決めたうえで、ステップ台が必要な高さと設置場所を確認する方法を説明します。対象は、事務所の高い棚から書類や軽い備品を取り出す人です。
厚生労働省の事例ではキャスター付き椅子が動いている
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」には、事務所で高さ約2.5mのキャビネットから資料を取ろうとした人が、キャスター付き椅子へ乗り、椅子が動いて転落しそうになった事例があります。原因として挙げられているのは、手が届かない場所で椅子を踏み台代わりにしたことです。
同ページの対策は、高い位置の資料や書籍を取る際に椅子を使わず、踏み台または開き止め金具を掛けた脚立などを使うことです。キャビネットを壁へ固定することも示されています。
これは特定のヒヤリ・ハット事例と、その事例に対する対策です。すべての棚に同じ高さの踏み台が合うことや、個別商品を厚生労働省が推奨していることを示す資料ではありません。
よく使う物はステップ台を買う前に下へ移す
今回の事務所へ当てはめると、最初に行うのは高い棚へ届く道具を探すことではなく、上段へ残す物を減らすことです。毎日使うファイル、重い帳簿、両手で抱える箱は、立ったまま取れる棚へ移します。
上段には、使用頻度が低く、一人で持っても姿勢を崩しにくい軽い物を残します。ステップ台へ上がった状態で箱を抱えたり、横へ身を乗り出したりする使い方が必要なら、今回の小型ステップ台だけで解決する前提にはできません。収納位置の変更や、作業方法そのものを見直します。
棚の転倒防止も別に確認します。ステップ台が安定していても、手を掛けたキャビネットが固定されていなければ、厚生労働省の事例で示された対策を一つ残すことになります。
自然に届く位置との差を測る
商品を選ぶ前に、棚板の高さではなく、取り出す物の持ち手や下端など、実際に手を掛ける位置を測ります。次に、床へ立って腕を自然に上げ、背伸びや横への傾きなしで手が届く高さを測ります。
二つの位置の差は、必要なステップ高さを考えるための出発点です。ただし、その差と同じ高さの台なら必ず安全に届くとは限りません。使用者の身長、棚の奥行、物の置き位置、製品が立つことを認めている面が関係するためです。
確認のために椅子や箱へ乗ってはいけません。床上で採寸し、候補商品の取扱説明書にある使用方法、使用者の体重を含む許容条件、立ってよい位置を確認します。商品ページだけで判断できない項目は、購入前に販売元へ問い合わせます。
開いた状態で幅420×奥行480mmを置けるか確認する
アシスタ ステップ台 AZ-PC-334は、商品ページで次の仕様を確認できます。
- 使用時の外寸: 幅420×奥行480×高さ430mm
- 折りたたみ時の外寸: 幅420×奥行50×高さ560mm
- 材質: スチール(粉体塗装)、ポリプロピレン
- ステップ面: 滑りにくくするラバー付き
- 脚の底: 床を傷つけにくくするゴム付き
- 展開時: ステップ部分が固定される構造
商品画像では上下二つのステップ面を確認できます。記事で扱う430mmは本体の外寸高さです。使用者が立ってよい面、許容荷重、正しい展開方法は、この寸法や画像だけから決めず、取扱説明書または販売元の案内を確認してください。
使用場所では、幅420×奥行480mmの長方形をテープで床へ示します。書庫の扉を開いた状態で、その範囲を水平な床へ置けるかを見ます。近くのデスク、椅子、段ボール、配線が脚部と干渉する位置は避けます。人が通るたびに台をよける必要がある通路も、使用場所には向きません。
折りたたんだ後の保管場所も使用場所の近くに決める
折りたたみ時は奥行50mmになりますが、幅420mmと高さ560mmは残ります。壁と家具の隙間へ入るかだけでなく、倒れたり、通路へ滑り出たりしない保管方法を決めます。
保管場所が別室だと、短時間の作業で再び近くの椅子を使う運用へ戻りやすくなります。高い棚を使う場所の近くで、誰でも決められたステップ台を取り出せる状態にします。使った後は、ステップ部分や脚のゴムに異常がないかを見てから戻します。
使用時は、本体を完全に広げてステップ部分が固定されたことを確認します。床のごみやコードを除き、ぐらつきがある状態では乗りません。商品の構造だけに任せず、社内で使用場所、上段へ置ける物、点検担当者を決めておくと、椅子で代用しない運用を続けやすくなります。
使う前と使った後の確認を決める
ステップ台を開く前に、床が平らで乾いていること、脚の下へ紙やコードが入っていないことを見ます。本体、ステップ面、固定部分、脚先のゴムに変形や外れがある場合は使わず、他の人が誤って使わないように分けて保管します。異常の判断や修理方法は、販売元の案内に従ってください。
使用後は汚れや水分を残さず、決めた場所へ戻します。折りたたむときに指を挟むおそれのある可動部へ手を置かず、周囲の人や物へ当てないように作業します。点検した人と異常の内容を共有できる記録方法も決めておくと、破損した台がそのまま戻されるのを防ぎやすくなります。
物を持ったまま上り下りする運用を避ける
台へ上がる前から両手が荷物でふさがっていると、本体や周囲を支えにして姿勢を直すことが難しくなります。上段へ置く物を軽く小さな物へ限定しても、持ち方や棚の奥行によっては無理な姿勢が残ります。片手で扱えない物、視界を遮る物、落とすと危険な物は低い棚へ移します。
高所の収納物を定期的に入れ替える作業や、横へ手を伸ばさなければ届かない作業は、小型のステップ台を都度使う方法が適切か、職場の安全担当者と見直します。ステップ台の高さを増やして解決しようとせず、棚の配置、作業人数、用途に合う作業用具を含めて選び直してください。
誰でも迷わず使える置き場所にする
職場に踏み台があっても、保管場所が知られていなかったり、別用途の荷物でふさがれていたりすると、近くの椅子で代用されやすくなります。使用する棚の近くに保管位置を表示し、ステップ台の前へ物を置かない運用にします。
新しく利用する人には、開き方、固定状態の見方、立ってよい面、異常時の連絡先を伝えます。商品ページで確認できない許容条件は取扱説明書や販売元の案内で補い、その内容を本体の近くで確認できるようにします。
無理に身を乗り出さず届く高さなら候補になる
このステップ台を候補にできるかは、決められた立ち位置から無理に身を乗り出さず物へ手を掛けられるか、開いた本体を水平な床へ置けるかで分かれます。
どちらかを満たせないなら、より高さの合う作業用具を選ぶか、収納物を低い棚へ移します。条件を満たせる場合は、AZ-PC-334の商品ページで展開時の構造を確認し、取扱説明書と許容条件を販売元へ確認してから選んでください。