会社のルーターを停電から守るUPS|消費電力と運転時間で選ぶ

会社のルーターとONUが短い停電で止まる悩みに対し、接続機器の消費電力、負荷別の運転時間、バックアップ4個口、矩形波への適合から小容量UPSを判断する方法を解説します。

会社のルーターを停電から守るUPS|消費電力と運転時間で選ぶ

瞬停や数分の停電でルーターとONUが止まると、パソコンがバッテリーで動いていても、社内Wi-FiやIP電話を使えなくなることがあります。この停止を短時間の給電でつなぐなら、UPS(無停電電源装置)が候補です。

ただし、UPSは「ルーター用」という商品名だけで選べません。給電を続ける機器の消費電力を合計し、その負荷で何分動くかを確認する必要があります。

この記事では、小規模オフィスの総務・IT担当者へ向けて、ルーターとONUへ給電するUPSの容量、バックアップ時間、差込口の選び方を説明します。

停電中も必要な機器を接続図から拾う

最初に、インターネット回線の壁側から、社員が使うWi-Fiや有線LANまでの機器を接続順に書き出します。ルーターだけをUPSへつないでも、手前のONUや回線終端装置が止まれば外部と通信できません。

小規模オフィスでは、次のような機器が候補になります。

  • ONUまたはモデム
  • 有線ルーターまたはWi-Fiルーター
  • ルーターと端末の間にあるLANスイッチ
  • 停電中も通話を続ける必要があるIP電話機器

どの機器が必要かは、「停電後に通信を何分維持し、その間に何をするか」から決めます。例えば、通話中のIP電話を終了させ、業務システムからログアウトするまでの10分を確保する、といった目的です。停電が続く間ずっと通信することと、安全に業務を終える時間を確保することは分けて考えます。

機器の消費電力をWで合計する

給電対象を決めたら、各機器の本体表示、ACアダプター、取扱説明書で、消費電力または定格入力のW数を確認します。平常時の実測値だけではなく、メーカーが示す上限の値で計算します。

例として、次の表示値だったとします。

  • ONU: 12W
  • Wi-Fiルーター: 18W
  • LANスイッチ: 15W
  • IP電話機器: 10W

この場合の合計は55Wです。

12W + 18W + 15W + 10W = 55W

これは計算方法の例であり、実際の機器の消費電力ではありません。利用中の型番ごとに確認してください。表示の意味や単位が分からない場合は、自己判断で換算せず、機器メーカーまたは社内の設備担当者へ確認します。

255W以下でも運転時間は負荷ごとに異なる

候補のAPC ES 425VA/255W BE425M-JPは、最大出力容量が425VA・255Wです。ただし、合計が255W以下なら必要な時間を給電できる、とは限りません。

メーカーのバックアップ時間表にあるBE425M-JPの標準値は次のとおりです。

  • 60W: 28分
  • 120W: 12分
  • 180W: 6分
  • 240W: 3.4分

負荷が大きくなるほど、運転時間は短くなります。また、これらは標準値であり、実際の時間はバッテリーの充電状態、周囲温度、使用年数などで異なります。メーカーは、本製品のバッテリー運転に140分の最長連続稼働時間があることも案内しています。

先ほどの55Wの例は、表にある60Wより小さい負荷ですが、ここから運転時間を比例計算することはできません。必要な時間が決まっている場合は、合計負荷をメーカーのランタイム情報へ照合し、表にない負荷はメーカーへ確認してください。

停電時も給電する4個口へ機器を割り当てる

BE425M-JPの出力コンセントは、6個すべてが同じ役割ではありません。

  • バッテリーバックアップとサージ保護: 4個口
  • サージ保護のみ: 2個口

停電中も動かしたいONUやルーターは、4個のバッテリーバックアップ口へつなぎます。残り2個のサージ保護のみの口へつないだ機器は、停電時に給電されません。

たとえ合計が255W以下でも、給電を続けたいプラグが5本あれば、この商品のバックアップ口だけでは足りません。電源タップをつないで口数を増やすのではなく、給電対象を減らすか、必要な差込口を備える別のUPSを比較します。

ACアダプターの幅が隣の口をふさがないかも確認が必要です。使用するアダプターを実際の向きで並べ、四本を同時に差せる配置かを商品画像と照らし合わせてください。

矩形波と接続機器の適合を確認する

BE425M-JPは常時商用給電方式で、バッテリー運転時の出力波形は矩形波です。メーカーは、PFC(力率改善回路)電源を使った機器にはESシリーズ以外を選ぶよう案内しています。

ルーターやONUだから問題ないと決めず、つなぐ機器とACアダプターの取扱説明書で、UPSの出力波形に制限がないかを確認します。記載がない場合は、機器メーカーとUPSメーカーの両方へ型番を伝えて照会してください。

253×105×140mmにプラグと点検空間を加える

BE425M-JPの設置に直接関わる仕様は次のとおりです。

  • 本体寸法: 幅253×奥行105×高さ140mm
  • 重量: 2.95kg
  • バッテリー: 鉛蓄電池
  • 保証期間: 3年間

設置面には本体の長方形だけでなく、壁コンセントまでのコード経路、六本のプラグやACアダプター、インジケーターを確認する空間を加えます。収納家具へ入れる場合も、密閉してよいと自己判断せず、ユーザーズマニュアルの設置条件を優先します。

停電時にブザーが鳴っても、奥にあるUPSへ手が届かなければ状態を確認できません。電源表示を見られ、異常時にプラグを持って操作できる位置を選びます。

導入時は通信を止められる時間帯で試す

導入は、社内ネットワークとIP電話を止められる時間帯に行います。機器の接続順序、UPSのバッテリー接続と充電、テスト方法は、各機器とUPSの取扱説明書に従います。

確認するのは、停電相当の状態でUPSがバッテリー運転に切り替わることだけではありません。ルーターやONUが再起動せず、普段使う席からWi-Fi、有線LAN、IP電話の必要な機能を使えるかまで確認します。

テストした日時、接続機器、合計W数、確認できた運転時間を記録します。その後も、メーカーが求める定期確認とバッテリー管理を行います。警告表示、異常音、膨らみ、液漏れ、異常な発熱がある場合は使用を続けず、メーカーのサポートへ確認してください。

復電後に通信が戻る順序まで確かめる

UPSが停電中に動いても、建物外や通信事業者側の設備が止まればインターネット接続を維持できない場合があります。導入目的を「社内機器へ給電すること」と「外部回線を必ず使えること」に分け、後者をUPSだけで保証できるとは考えません。外部回線が使えない場合の連絡手段や業務終了手順も別に用意します。

停電が長引いてバッテリー給電が終わった後は、復電時にONU、ルーター、スイッチなどがどの順序で起動し、通信が戻るかを確認します。電源が戻った直後に何度も再起動せず、各機器の説明書に従って表示と接続状態を確認してください。通信が戻らない場合に連絡する担当、確認する機器、設定を変更せず待つ条件を決めておくと、障害を広げにくくなります。

バッテリー交換や接続機器の追加後は、以前のテスト結果をそのまま使いません。接続図と負荷を更新し、停止できる時間帯に切替と復旧を再確認します。警告を受け取る担当者が不在でも使用停止へ切り替えられる運用まで決めて、初めて停電対策を継続できます。

負荷と必要時間の両方が合うかで決める

給電を続けたい機器が四口に収まり、合計負荷に対するバックアップ時間が業務終了に必要な分数を上回るなら、BE425M-JPを候補にできます。どちらか一方でも足りなければ、給電対象を絞るか、差込口と運転時間に合う上位機種を比較してください。

BE425M-JPの商品画像と販売状態を確認する

参考資料