会社で防災ヘルメットを用意しても、倉庫の奥や施錠した棚にまとめると、地震で通路が塞がれたときに取り出せない可能性があります。一方、一般的な形のヘルメットを各席の近くへ置くには、まとまった収納空間が必要です。
この記事では、防災ヘルメットの収納場所に困っている総務・防災担当者へ、必要数、収納面、棚の荷重、取り出し方を決める方法を説明します。候補にするのは、収納時の厚さが35mmになるタタメット BCP プレーンタイプです。
在籍者数ではなく、その場所を使う最大人数で数える
最初に、ヘルメットを使う場所と人数を対応させます。全社分を一つの倉庫へ集める前に、執務室、受付、会議室、休憩室など、災害時に人がいる可能性がある区画を図面へ記入してください。
必要数は名簿上の在籍者数だけでは決めません。同時出社人数に、来客、研修参加者、他拠点からの応援者などを加えます。たとえば、通常の出社が8人で、来客と外部スタッフが最大4人なら、検討の起点は12人分です。
出社8人 + 来客・外部スタッフ4人 = 12人分
席が固定されている職場なら個人ごと、フリーアドレスなら区画ごとに割り当てます。誰の物か決めるだけでなく、会議中や休憩中でも近い保管場所から取れるよう、配置数を分けることが重要です。
タタメット BCPの仕様を一度確認する
オフィスコムの商品ページで確認できる主な仕様は次のとおりです。
- 収納時: 幅約332×奥行35×高さ221mm
- 立体時: 幅約235×奥行292×高さ151mm
- 対応する頭サイズ: 470~620mm
- 重量: 約369g
- 規格: 厚生労働省保護帽規格の国家検定合格品
- 用途区分: 飛来・落下物用
- 生産国: 日本
商品ページでは、立体化と折りたたみを簡単に行えることも案内されています。ただし、保管時に薄いことと、緊急時に全員が正しく組み立てて装着できることは別の判断です。収納場所を決める作業と、展開・装着の練習を一組で考えます。
A4用紙より一回り大きい面を収納できるか確かめる
収納時の正面は332×221mmです。A4用紙の297×210mmと比べると、長辺は35mm、短辺は11mm大きくなります。A4書類が入る引き出しでも、内寸に余白がなければ収まるとは限りません。
332mm - 297mm = 35mm
221mm - 210mm = 11mm
段ボールを332×221mmに切り、候補の引き出し、ロッカー、書庫へ入れてください。扉や引き出しが閉まることに加え、指を掛けて一枚ずつ取り出せるかも試します。収納袋や識別ラベルを付ける場合は、その外寸を含めます。
縦置きするなら、倒れて重ならないよう一人分ずつ区切ります。平積みは省スペースに見えますが、下の一枚を取るために上の物を動かす必要があります。急いで複数人が取る場面を考えると、並べた順序を崩さず手前から抜ける収納のほうが管理しやすくなります。
まとめて置くときは棚の幅と荷重を計算する
厚さだけを単純に足すと、10人分は350mm、12人分は420mmです。実際には仕切り、収納袋、取り出すための隙間が加わるため、棚の有効幅をこの数値と同じにしないでください。
35mm × 10人分 = 350mm
35mm × 12人分 = 420mm
重量も人数分を合計します。1個約369gなら、12個で約4.43kgです。棚板の耐荷重を確認するときは、ヘルメットだけでなく、仕切りや収納ケースの重さも加えます。
369g × 12個 = 4,428g(約4.43kg)
複数の区画へ分ける場合は、「受付4個、執務室8個」のように配置表へ記録します。総数が足りていても、実際に人がいる区画と保管数が合わなければ、災害時に別室まで取りに行くことになります。
収納場所は家具が動いた後も近づける位置にする
空いている棚を見つけるだけでなく、地震後の状態を想定して保管場所を選びます。背の高い書庫の奥、倒れた家具で塞がれうる通路の先、鍵の管理者しか開けられない収納は、平常時に整って見えても緊急時の取り出しに向きません。
候補位置を決めたら、机や椅子が動いた状態を想定し、各区画から保管場所まで歩きます。扉を開ける、人数分を取り出す、周囲へ渡すという一連の動作も試してください。保管場所の前へ段ボールや清掃用品を仮置きする運用があるなら、その場所は常時取り出せる定位置になりません。
個人の引き出しへ入れる場合は、本人が不在でも会社の備品として開けられる運用が必要です。共用棚へ置く場合は、棚の外から内容と個数が分かる表示を付け、別の備品を前へ置かないルールを決めます。
「国家検定合格」だけで用途を決めない
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」では、保護帽を「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」などに分けています。タタメット BCP プレーンタイプの商品ページに記載されている区分は、飛来・落下物用です。
そのため、国家検定合格という表示だけを見て、高所作業や墜落・転落の危険がある作業用にも使えると判断しないでください。会社の防災備品と、業務上必要な保護具が兼用できるかは、作業の危険と製品の表示を照合して決めます。墜落時保護用が必要な業務では、用途に適合する別の保護帽を選びます。
頭サイズの対応範囲に入っているかも、購入後の配布時ではなく候補選定時に確認します。来客用や共用品は使用者が固定されないため、想定する利用者が調整できる範囲と、装着方法を担当者が説明できる状態にします。
展開と装着を避難訓練へ組み込む
折りたたみ式は、取り出した後に立体化する工程があります。初見でも使えると決めつけず、配備前に担当者が商品説明と現物を照合し、展開、サイズ調整、装着、折りたたみまで行います。
訓練では一個の見本だけを担当者が操作するのではなく、実際の保管場所から利用者が自分で取り出します。収納袋や仕切りが引っ掛からないか、同時に複数人が取れるか、組み立て方を忘れた人へ説明できるかを確認してください。
訓練後は、個数、破損、部品の状態、製造年月や製品表示を確認し、元の区画へ戻します。点検方法や交換時期は、製品の取扱説明書とメーカーの案内を基準に管理します。
配置表と現物を同じタイミングで更新する
席替えや部署移動で人のいる区画が変わっても、ヘルメットだけ以前の場所に残ることがあります。防災担当者は座席表や避難計画を変更するときに、配備場所も見直してください。収納棚の表示には、対象となる区画を示し、別の場所から持ってきた物が混ざったときに気づけるようにします。
日常点検では、総数だけでなく、所定の区画に戻っているか、手前を別の備品が塞いでいないか、収納状態に異常がないかを確認します。訓練で開いた物や点検が必要な物は、未確認のまま元の列へ戻さず、確認待ちと分かる場所へ分けます。使用できるかの判定や交換は、担当者の見た目だけで決めず、製品の説明書とメーカー案内に従ってください。
来客用を受付に置く場合は、受付担当者が避難誘導と配布を同時に担えるかも訓練で確かめます。担当者が不在でも別の人が保管場所を見つけられる表示にし、鍵や個人の引き出しに依存させないことが重要です。
取りに戻る前提の配置にしない
各席の近くへ分散しても、災害時に必ず取りに行けるとは限りません。落下物や転倒家具で近づけない場合に、ヘルメットを取るため危険な場所へ戻る運用にはしないでください。会社の避難判断と誘導を優先し、保管場所へ安全に手が届くときに使う備品として位置付けます。
また、ヘルメットがあることで、保護対象外の危険な作業や場所へ入ってよいことにはなりません。飛来・落下物用という製品区分と、会社が想定する利用場面を訓練時にも共有します。収納の薄さは配備場所を増やす助けになりますが、危険区域へ入る許可や、ほかの保護具の代わりにはならない点を分けて管理します。
収納面と用途区分が合えば候補にできる
この商品を候補にできるかを分ける条件は、332×221mmの面を人数分取り出せる収納へ配置できることと、飛来・落下物用という用途区分が会社の想定に合うことです。二つを満たすなら、厚さ35mmの形状を使って、各区画の近くへ防災ヘルメットの定位置を作れます。